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デジタルペンのデータから個人と集団の関わりを推論するシステムを展示

  • Services
    • UX・UI デザイン
    • グラフィック制作
    • ソフトウェア設計コンサル
    • ソフトウェア開発
    • デザインコンサル
    • 機械学習コンサル
    • 機械学習モデルの開発
  • Client
    Wacom Co., Ltd.
  • Annual
    2020
  • Links

OUTLINE
エスディーテックは、株式会社ワコムと共に、デジタルペンのデータに現れる人の心理の探求を続けています。
出展3年目となる Connected Ink 2020 では、個人と集団との関わり方をテーマに、これまでより抽象度の高いアートワークを製作しました。

  Individuals and Group
私たちは様々な集団に属しています。
会社・学校・家庭・部活動・趣味仲間・信奉・地域など。固定的に思える環境からも、ふと一歩外に踏み出せば、無限に広がる可能性を発見するでしょう。
居心地の良い集団を見つけたなら留まるのも、再び未知の旅へ出るのも自由です。
「漂流者」と名付けられたこのアートワークは、あなたのタイプはこうですと決めつけ答えを出すのではなく、機械学習の推定を通して自己のメタ認知を助け、問いを立てる事を目的にしています。
曖昧な人間の内面を推定した結果は、そのまま不明瞭な身振りで可視化され、それをどう解釈するかはあなた次第。
この体験を通して自分自身への気付き・考えるきっかけを与えるものです。

  Machine Learning Model Development
このシステムを体験するユーザーは、まず自己を客体化するためにアバターを作り、次に少し広い部屋の中で他のアバターと短い交流をします。
アバターの顔を描いたり髪型や服を選んだり、他のキャラクターに近づいて話しかけたり。
これらのペン操作から得られた筆圧や軌跡などは、裏で機械学習にかけられます。
ここで推定されるのはユーザーの自身への拘りの強さや外部刺激に対する反応、積極性、集団との関わり方などです。

  ペンデータの分析を終えたアバターは、暗い地平空間に“転送”されます。
あなたを映したアバターはひとりでに歩きだして他者と交流を始めますが、ここからユーザー自身は何も操作できず、水槽の中の魚を外から眺めるように、自分の分身の行く末をただ見守ることしかできません。
あなたはこの仮想空間で、どのように集団と関わり行動するでしょうか。

  エスディーテックは、コンセプト企画、UIデザイン、機械学習モデルおよびアプリケーションの開発を担当しました。  

  Developer's Note
2020年、コロナ禍はモノづくりの現場に非対面・遠隔化の波をもたらしました。
今回の開発工程でも機械学習のデータ収集の多くを遠隔で実施。
複数台のカメラとビデオ通話を通して、事前説明・心理アンケート・実験実施・事後インタビューの約半数を遠隔対話形式で進めました。
イベント開催期間中は、オンラインのブース出展に加えて、新宿の現地会場で「遠隔の立ち合い」にも挑戦。
エンドユーザーとの対話を重視するわたしたちにとって、遠隔参加は苦渋の決断でしたが、議論の場に(在宅勤務中の)開発者チームを次々巻き込んで広がる多対多の柔軟な対話展開は、新しい時代の到来を予感させる素晴らしい体験でした。